読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

誇れる祖国「日本」

 元谷外志雄著「誇れる祖国『日本』」を読みました。著者はアパグループ代表で、本書をアパホテルの客室内に置いていることを批判し、中国国内の予約サイトがアパホテルをボイコットする事態になった話題の一冊です。

 問題の記述は南京大虐殺について。「謀略によって捏造された『南京大虐殺』」という節があり、その中ではっきりと南京大虐殺は捏造だといっています。その根拠として、名古屋市長の河村たかし氏のお話がありました。河村氏の父親終戦当時南京市にいて、市民から新設に温かく遇されていたとありました。戦時中に大虐殺などがあったら、日本人をそのように遇することはあり得ないとのことでした。そうしたことから、河村市長は南京市の代表訪問団との会合で「あれはなかたのではないか」と言ってのけたのだそうです。らしいというか、なんというか、そんなこと言っちゃうんですね。

 また、被害者名簿のようなものは存在せず、東京大空襲や長崎・広島の原爆、アフリカ・ルワンダ大虐殺、アウシュビッツ等々、悲惨な歴史には、それを忘れまいとするために資料館等があり、写真や使われた武器等の実物が並んでいるが、南京大虐殺記念館には写真も武器もなく、後日造られた模型や人形ばかりだそうです。また当時の南京市の人口は20万人強だということで、一人残らず殺しても30万人には到達しないとか、それだけ殺した場合に死体の処理もしきれないとか、中国人、日本人のほかに欧米人もいたのにそのような記録は残されていないとか、至極まともな理論が展開されていました。これらが事実と違うのであれば、それはそれでしっかり反論するべきところですが、訳の分からない圧力をかけるあたりは、反論できないものと受け止められても仕方ないところだと思います。

 他にも、戦後史観から核の問題、アメリカ、ロシアの問題、日教組について、当時の民主党政権の危うさなどが書かれていました。渡部昇一氏や池田整治氏あたりの本と同様の論調ですので、どこかで聞いたことのあるような話に終始しましたが、こうした本に共通するのは、なんとも断定的でとげとげしい文章です。こういう文体だと、私はなんとなく「話半分くらいに聞いておこう」と予防線を張ってしまいますし、読んだことを人に伝えるのもはばかられてしまいます。歴史の話ですから、著者本人がこの目で見たという事実ではないはずなので、もう少し謙虚で柔らかい文体だともっと信用に値する、いや信用していないわけではありませんが、そう思うわけです。

 手に取った目的はアパホテル側の主張を確認することだったので、それは十分に達成でき、中国側の圧力の理不尽さもよく分かった気がします。