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『ぼちぼち』

「ぼちぼち行こうか。」

「ぼちぼち?」

ぼくはおじいちゃんに聞いた。

「ああ、『ぼちぼち』っていうのはね、『そろそろ』ってことだよ。」

「ふーん。」

「もう夕方になったからね。そろそろ家に帰らないと、お母さんが心配するよ。」

「うん。ぼく、『ぼちぼち』がいいな。ぼちぼち帰ろう。」

「ははは。ほらっ、グローブ忘れるんじゃないぞ。」

あれから10年。

県大会決勝、9回裏ツーアウト。

マウンドから見上げる空は高い。

おじいちゃん……

ぼくは振りかぶった。

「ぼちぼち行こうか!」